蜂蜜

トルコ映画、初めて見る監督です。
ヒタヒタに音に浸る映画でした。特に歩く音。石ころだらけの山道を、げちゃげちゃのぬかるみを、森の道を落ち葉を踏みしめて歩く音を、丁寧に拾っていて耳に心地いい。
ユスフは、小学校に上がったばかりの少年で、山奥の高い木の上に巣箱を取り付けて蜂蜜を取る養蜂家のお父さんと、お母さんの3人暮らし。山奥に建てられた彼らの家は、外観は質素ですが、内部は実に住み心地良さそうです。山側の大窓にかけられた花柄のカーテン、窓の下にしつらえた木造りの長いソファには、色とりどりのクッションと敷物。ワンプレートの朝ご飯も、なにやらカラフルで美味しそう…。
特に好きだったシーンがあります。 お父さんの作業場で、ユスフは木を削った作りかけの船の模型を見つけます。時々作業工程をこっそり確認したりして、仕上がりを楽しみにしますが、ある日お父さんが仕事用の縄を買い行き、その家の息子で、ユスフのクラスメートでもある少年に、何かをあげているところを目撃。取って返して作業場を調べると、あの船の模型が無い。お父さんに、それとなく「船は?」と尋ねると「海に出た」と。自分ではなく、よその子に上げてしまったことがショックで、隣の席のその友だちに、彼はちょっとした意地悪をします。 友だちが風邪で学校を休んだある日、家の大窓の桟に、色紙で美しく帆を付けた、例の船の完成形が飾られているのを見つけ、自分がとんだ勘違いをしたことに気づく。ユスフはその船を鞄に入れて友だちを訪ね、眠っている彼のアタマをなでて、黙って船を置いてくる。その一連のシーンに、一切台詞は無し。ぐっときます。
3部作の3話目だそうですが、他の2本も見たくなりました。

●『蜂蜜』Bal 監督=セミフ・カプランオール

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蜂蜜 への1件のフィードバック

  1. okamu のコメント:

    HP開設おめでとうございます〜。ブログも更新して下さいね!
    ちょっとトルコに行ってみたくて、そういう意味でも「蜂蜜」は気になっていた映画でした。見てみようかな。

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